グレープフルーツ – grapefruit

グレープフルーツの特徴

数個がぶどうの房のように実ることからグレープフルーツという名前があります。

文旦(ぶんたん)の突然変異で生まれたと考えられています。

果実は直径10cmほどもあり、柑橘(かんきつ)類の中でも大きい部類です。

適度の酸味と苦みがあり、多汁です。

別名アメリカンフルーツと言われるほど、アメリカ人が大好きな果物で、朝の食卓の定番になっています。

世界各地で広く栽培されていますが、アメリカのフロリダ、カリフォルニア、アリゾナに大産地があり、質の良いものが採れます。そのほか、イスラエル、アルゼンチンなどが主産地です。

グレープフルーツの旬

一年中出回りますが、一大産地のフロリダで熟したものが輸入される季節、4~6月頃が一番おいしい時期です。

日本で出まわるのはフロリダ、カリフォルニアからの輸入ものがほとんどで、イスラエル産のものも少し入ります。

秋から春にかけてはフロリダ産、春から秋にかけてはカリフォルニア産のものが多く出まわります。

グレープフルーツの種類

果肉の色により、ホワイト種、ピンク種、ルビー種などと分類される場合が多いようです。

一般に、赤肉系のほうが甘味が強いようです。

マーシュ(別名)ホワイト

グレープフルーツの代表格。フロリダで作られるグレープフルーツで最も多く作られているのがマーシュで、その素晴らしい味がフロリダ・グレープフルーツの名前を確固たるものしました。ホワイトと呼ばれるのは、普通この種です。果肉が白黄色で、果汁が多く、さわやかな酸味と苦みの少なさが身上です。開花するのは2~3月頃ですが、9~10月頃に熟し、翌年の6月までの長い間収穫できるそうです。

トムソン(別名)ピンクマーシュ

見た目はマーシュとあまり変わりませんが、果肉がピンク色をしています。最近は栽培量が減っています。

ルビー

果皮も果肉も赤みを帯びているのが特徴です。風味は白黄色系とあまり変わりありませんが、味はやや甘いです。果肉の赤みは、シーズン終盤にかけてピンク色に変化していきます。

スタールビー

果皮は紅色でなめらか、果肉も深い紅色なのが特徴です。果実が腐りやすく、育てるのが難しい品種です。果汁は少なめです。

オロブランコ(英)oroblanco(別名)スィーティー

1958年、アメリカでグレープフルーツとポムロ(ぶんたんの一種)を交配して作り出された新種です。果実は白黄色、種が無いのが特徴です。多くカリフォルニアから輸入されます。イスラエルからも同種のものが「スィーティー」の名で輸入されますが、皮の色は緑色をしています。酸味が少なく、甘くて食べやすいので人気を呼んでいます。

グレープフルーツの加工品

ジュースやジャム、ゼリーなど、果汁の爽快さを生かして様々な食品に加工されています。

グレープフルーツの選び方

形がよく、表面に張りがあってずっしりと重く、実のつまったものを選んでください。

表面にしみがあるものがありますが、肉質には影響ありません。

グレープフルーツの調理法

水でよく洗い、横半分に切って、スプーンですくって食べます。農薬などの薬品は果肉にしみ込むことがほとんどないため、この方法が一番安心のできる食べ方です。

苦みや酸味が苦手な人は、好みで砂糖やはちみつをかけて食べるのが一般的です。ただし、糖類のかけ過ぎには注意しましょう。酸っぱくても、もともと果糖やブドウ糖を含んでいるため、糖分過多になり、血中の中性脂肪を増やしてしまいます。

酸味を和らげるには、ワインやブランデーなどの洋酒をかけるという方法もあります。1、2滴のごく少量でも効果がありますので、アルコールの大丈夫な人はぜひ試してみてください(未成年者はだめですよ)。

表面は農薬やワックスなどの薬品処理がされているので、特に皮を使用する場合は、お湯でよく洗うか、ゆでこぼして使用したほうが安心です。

そのほかの料理
  • 袋から果肉を取り出して、サラダに入れたり、シロップ煮にしたりします。
  • 果汁をしぼってジュースやゼリーにします。また、ソースやドレッシングを作り、サラダやデザートに用いるという使い方もあります。しぼるには専用のしぼり器が市販されていて便利です。
  • 皮にはペクチンが多く含まれており、マーマレードやジャムを作るのに適しています。

グレープフルーツの保存法

収穫後に薬品が使用されるので、まずはよく洗ってください。薬品は防かび剤や防腐剤などで、人体にも影響があるので手も良く洗ってください。

よく洗ったあとは、冷暗所や冷蔵庫で保管します。香りが強いので、ビニール袋などに入れて下さい。1~2週間はもちます。

カットしたら、全体をラップして冷蔵庫に入れてください。水分が飛ばないうちに、2~3日で食べてしまいます。

一つがかびると、すぐに周りのグレープフルーツにうつるので要注意です。

グレープフルーツの栄養・効能

かぜや美肌、がん予防に

ビタミンCが多く含まれ、その割合は、温州みかんよりやや多めです。ビタミンCは、肌にうるおいを与え、疲労、ストレスからの回復や、かぜ、がん予防に効果があります。1/2個で1日のビタミンC必要摂取量を上回る補給ができます。

ダイエットや糖尿病の人に

しょ糖、果糖、ブドウ糖などの糖類が主成分ですが、他の柑橘類や果実と比べるとその量が少ないため、ダイエット中の人や糖尿病、高脂血症の人のビタミン補給に効果があります。

疲労回復に

爽快さを与える酸味は、主にクエン酸です。クエン酸は、体内の疲労物質である乳酸の代謝を高める作用があり、からだをシャキッとしてくれます。また、唾液や胃液の分泌を高め、食欲を増進させます。

皮膚や粘膜の強化に

果肉が赤い種類の、赤い色素成分はカロチンの一種のリコピンです。カロチンは、体内でビタミンAに変わり、皮膚や目の粘膜を強化するなどのはたらきがあります。

心臓の強化に

アメリカでは、グレープフルーツの果実や果汁製品にハートのマークを付けて販売されています。このハートマークは、心臓を守る食材であることを、アメリカン・ハート・アソシエイション(心臓病関連の任意団体)に認定されている、ということを示すものです。グレープフルーツにはビタミンCとともに、カリウムも豊富に含まれています。カリウムは心臓や筋肉の正常な収縮を助け、糖代謝を促進するはたらきをします。このはたらきとビタミンCの血管を強化するはたらきとの相乗効果が心臓の健康に役立ちます。

老化防止や便秘に

果皮や袋、皮の裏側の白くてふわふわした部分などには食物繊維のペクチンが多く含まれています。ペクチンには抗酸化作用や消炎作用があり、老化の予防になります。また、整腸効果があり、便秘がちの人にもおすすめです。ただし、グレープフルーツジュースには、ペクチンはあまり含まれていません。

悪玉コレステロールの撃退

最近のアメリカの研究では、グレープフルーツ中のペクチンなどのはたらきにより、血中コレステロール値を大幅に下げる効果のあることがわかっています。これは動脈硬化を抑制し、心臓発作などをおきにくくすることを意味します。

ストレス解消に

苦みはナリンジンという苦み成分を含むためです。少々苦いのですが、このためにかえって爽快感のある味わいになっています。皮に含まれるリモネンなどとの相乗効果で、ストレスの解消に役立ちます。また、ナリンジンには抗がん作用や健胃効果があります。

薬との併用は要注意!

グレープフルーツ果汁をある種の薬と合わせて飲むと、薬の作用を増強して思わぬ症状を引き起こすことがあります。グレープフルーツ果汁との作用が確認されている薬品としては、カルシウム拮抗(きっこう)剤やトリアゾラム、テルフェナジン、シクロスポリンなどです。
中でもよく知られているのが、降圧剤として使用されるカルシウム拮抗剤との相互作用で、これらを合わせて服用すると、薬が効きすぎてしまい、血圧を下げ過ぎて、めまいや頭痛、起立性低血圧などの症状を引き起こす危険があります。
睡眠剤としてよく用いられるトリアゾラムは、グレープフルーツとの併用により、催眠効果が増強したという報告があります。
これらの果汁による影響は同時服用の場合だけとは限らず、少なくとも薬剤服用の10時間前から2時間後の間で持続することが確認されています。
肥満や糖尿病の人は糖度の低い柑橘類を勧められることが多いので、注意が必要です。

グレープフルーツの民間療法

寝つきの悪いときに

温めたグレープフルーツジュースが効果ありです。ただし、ビタミンCは熱に弱いので、過度に温め過ぎないようにしてください。

たんのからみに

どろどろになるまで煮て食べると、たんのからみを抑える効果があるそうです。

グレープフルーツの歴史・由来

原産地は西インド諸島のバルバドス島で、18世紀前半に発見されたと言われています。

19世紀初めにアメリカのフロリダに導入されました。

日本には、大正4年にアメリカから伝来したが、寒さに弱いため栽培が難しく、今日まで、国内ではほとんど栽培されていません。

昭和の初期には輸入が始まり、当初は高級フルーツとしてもてはやされました。

1971年、グレープフルーツの輸入が自由化され、一気に大衆化され、一般家庭の食卓にのぼるようになりました。

グレープフルーツの豆知識

グレープフルーツナイフ

グレープフルーツの身を皮から切り離すのに用いる刃渡り10cm前後のナイフです。両端にのこぎり状の刃が付いており、グレープフルーツを横半分に切ったカーブに合うように刃先が湾曲しています。そのほかにも、グレープフルーツカッターという果肉だけを取り出せる器具や、果汁絞り器など、便利なグッズがいろいろ市販されています。いろいろ探してみてはいかがでしょうか。

グレープフルーツでパック

グレープフルーツと卵黄を混ぜて顔に塗るとパックのかわりになります。10分ほどして、ぬるま湯でふき取ると、お肌はすべすべに。ただし、しみやそばかすのできやすい人にはお勧めできません。(編集注:どういう影響があるかまではわかりませんでした。どなたかご存知の方はご連絡くださいませ)

輸入米をおいしく炊く裏技

輸入米というと、どうしてもパサパサしたイメージがありますが、グレープフルーツを使っておいしく炊き上げる裏技があります。方法は簡単。3合の輸入米に対して、大さじ1のグレープフルーツ果汁を加えて炊くだけです。こうすると、グレープフルーツに含まれるビタミンB1やビタミンCが、デンプンの分解を速めるため、柔らかくてふっくらした炊き上がりになるというわけです。

スチロールを溶かす!?

スィーティーの果汁で発泡スチロールのトレーが溶けた、とか、皮をむいた手でテレビのリモコンを触ったらリモコンが変色した、とかいう相談が消費センターに寄せられるそうです。これは、特にスィーティーの果皮に多く含まれる、テルペン系炭化水素などの精油成分が原因しています。精油成分は溶剤としての作用があり、スチロール樹脂等を溶かしてしまいます。この精油成分、人体にはまったく無害で、むしろその爽やかな香りが、ストレス解消などに一役かっています。

この成分は、発泡スチロールのリサイクルに利用できるとして、最近非常に注目されています。エチルアルコールとの併用により、発泡スチロールの体積を1/50にも縮小し、建築材の接着剤やペイント剤等の原料としてリサイクルすることができるそうです。