蜜柑 – みかん – mandarin

みかんの旬

ハウス栽培物(5~9月)-早生(わせ)みかん(9月上旬~)-普通みかん(11月中旬~12月)-貯蔵物(12月中旬に収穫したもの、3月頃まで)、とつないで一年中多くの品種が出回ります。

種類によって美味しい時期は異なりますので、この時期ならこの種類というようにいろいろな種類を楽しんで下さい。

みかんの種類

みかん類とは、柑橘類のうち、皮が柔らかく、中の袋も離れやすいものをまとめて呼びます。 みかん類の種類は多く、他の柑橘類との雑種も含みます。

みかんというと、江戸時代には紀州みかんのことでしたが、現在では温州みかんのことを指します。

品種

温州みかん

日本独自の品種で、皮がむきやすく、種も無くて食べやすいのが特徴です。ひとくくりに温州みかんといいますが、収穫時期や産地により、多くのな品種があります。一般的にそれぞれの件名や特産地名をつけて◯◯みかんと称してブランド化しています。千葉県以西の温暖地で広く栽培されますが、愛媛、和歌山、静岡、熊本などが特に有名です。

紀州みかん

中国原産ですが日本にも古くから存在します。江戸時代にはみかんの代表で、紀伊国屋文左衛門が江戸に運んだのも紀州みかんです。果実は30g~40gで香りよく美味ですが、小粒なために明治中期以降は温州みかんに主役の座を明け渡しました。鹿児島や和歌山が主な産地です。

みかんの加工品

みかん全生産量の約2割はジュースや缶詰に加工されます。

缶詰

皮をむいて水にさらし、シロップ漬けにしたものです。

ジュース

みかん100%のもののほか、オレンジや八朔などとの混合ジュースなど、さまざまな種類が売られています。

陳皮

みかんの皮を乾燥させたもので、中国料理に香辛料として用います。日本では七味とうがらしや屠蘇散(とそさん)に入れます。

みかんの選び方

適度に扁平なもの、皮が薄いもの、中が張り切ったもの、大きさの割に重みのあるもの、色が濃くつやのあるもの、を選びます。

ヘタが細く緑色で、がくが黄色のもの。ヘタが太いものは大枝からの直成りで、大味のものが多いのです。ヘタは古くなる程、黒ずんできます。

MかS、又は2Sぐらいの、大玉でないものが糖度が高くて甘いです。

ワックスを使わないものも、だいぶ出回っています。見栄えは悪いですが、何より安心できますし、ワックスを塗布したものは果実の呼吸が妨げられ、味ボケしたミカンになりやすいそうです。

みかんの調理法

あまり料理には使われませんが、サラダや酢のもののあしらいに使うことで料理に彩りを添えます。

みかんジュースのつくり方

  • 沸騰した湯にみかんを2~3分つけます。
  • 水気をきって半分に割り、搾り器で搾汁します。
  • 砂糖を好みで入れ、果汁を加熱します。70℃になったら火を止めます。
  • 果汁が冷めないうちに、あらかじめ殺菌した瓶へ9分目まで入れ、栓をします。
  • 85℃の熱湯で25分間殺菌し、冷暗所に保存します。

冷凍みかんのつくり方

冷凍みかんを美味しくつくるにはちょっとしたコツがあります。
冷凍庫で3~4時間ほど凍らせた後、冷水にみかんをくぐらせて皮の表面を氷の膜で覆い、ビニール袋に入れて保存します。こうすることで乾燥を防ぎます。

みかんの保存法

風通しが良い冷暗所に置きます。

箱で買った場合は箱のふたをあけたままにしておきます。

湿度・温度が高いところは避けてください。3~5℃が適温です。

冷蔵庫には入れないほうが日持ちします。

腐っているものを見つけたらすばやく取り除きます。カビが発生すると周囲に移ります。傷んだものは、その都度取り出してください。

大体の目安で、早生みかん(11月頃のもの)は1週間~10日ぐらい、中生みかん(12月頃のもの)は、2週間ぐらいで食べきるようにします。

ノーワックスのものは、表皮から水分が蒸発してしなびやすいので、ビニール袋に入れて保存します。

出来るだけ箱の底にあるみかんから食べましょう。運送中にどうしても圧力がかかってつぶれやすくなっているからです。

みかんの栄養・効能

みかんには、様々な効能がある上、くせの無い味で飽きずに食べられるので、とてもすぐれた食品と言えます。1日2~3個食べるだけでいろいろな効果が見込めます。

風邪予防、疲労回復に

みかんにはたくさんのビタミンCが含まれています(100g中35mg)。しかも加熱することなく、水で洗わずに食べれるので、ビタミンの損失無く食べる事が出来ます。1日3個で1日分のビタミンC必要量の半分を摂取できます。
ビタミンCには免疫機能を高める作用があり、風邪などの予防にもつながるので寒い時期には是非とも食べたい食品です。クエン酸やリンゴ酢などの有機酸も多く含まれ、疲労回復を早くする働きがあります。

動脈硬化、コレステロール血症に

毛細血管を強くするヘスペリジン(ビタミン様物質で、かつてはビタミンPと呼ばれていました)などを多く含み、動脈硬化にも効き目があります。コレステロールの吸収をよくする働きもあり、高コレステロール血症によいともされています。

抗がん作用

最近注目されているのが、抗がん作用で、温州みかんの色素の成分であるβークリプトキサンチンには、βカロチンの5倍のがん予防パワーがあるとされています。香り成分のリモノイドやフェノール、更にカロチン、プロトカテク酸、オープラテン、フラボイドにも抗酸化作用や抗がん作用があることがわかってきています。

整腸作用

袋やスジには多くの食物繊維ペクチンが含まれ、腸の中の水分を調節して便秘を解消したり、逆に下痢を抑えるという効果があります。みかんを食べる時は、果肉だけ食べるのではなく、袋ごと少々のスジはそのままで食べると、健康にとても良い効果が得られるでしょう。

からだを冷やす働きがあるので、冷え性、腎炎、膀胱円、喘息の人は多食を避けてください。

みかんの民間療法

焼きみかん

中国医学では、加熱したみかんを食べると血行が促進され、風邪の症状・腰痛・冷え性・腰痛に効果があると言われています。
ひき始めの風邪には、みかんを丸ごと焼き網にのせて、弱火で焼き、全体が黒くなったら、網からおろしてアツアツの果汁を絞って飲みます。しょうが汁を加えるとより効果的です。
秋に外でバーベキューなどをした後に、食後のデザートとして、そのまま網の上でみかんを焼いて食べてみてはいかがでしょうか?以外においしくてクセになるかも。

みかんの皮の効果

みかんの皮にはビタミンCのほかAやDも大量に含まれています。 皮を干した陳皮は漢方では薬として用いられ、風邪、のどの痛み、せき、たん、胃のもたれ、吐き気、口臭、腹痛、下痢、乳房のはれなど幅広い効用があるとされています。
家庭で作る場合は、皮を洗ってよくワックスを落とし、刻んだものを1週間干して乾燥させます。これを細かく刻んで砂糖といっしょにお湯で溶いて服用すると、風邪に効果があります。

みかんの歴史・由来

柑橘類の原産地は、インド東北部といわれ、ここから多くの種類が分れて世界中にひろまりました。

温州みかんの原産地は、温州という名から中国原産と思われがちですが、実は温州みかんの発生地は、鹿児島県長島(ながしま)で日本独自種です。温州みかんの名は、中国の浙江省にあり、みかん生産の中心地である「温州」からとったらしいですが、現地には類似の品種は存在しません。遣唐使が中国の温州から持ち帰った種を、基地であった鹿児島県長島でまいたものが、後の江戸時代に突然変異で生まれたといわれています。

「温州みかん」という名前が全国的に定着したのは明治時代になってからです。それまでは李夫人(リウリン)とか唐(から)みかん、中島みかんなど、各地でさまざまな呼び方をされていました。ちなみに、李夫人とは、愛媛県の宇和島地方などでの呼び名で、中国の絶世の美女として名高い李夫人にあやかったもののようです。李とはすもものことで、形、色が良くておいしい、まるで李夫人のような、みかんの美人という意味を込めたネーミングであったと思われます。

海外では、温州みかんはサツマ(Satsuma)と呼ばれます。これは、明治時代の初めに日本に来ていたアメリカ大使館員の夫人が、みかんの苗を薩摩国(鹿児島県)で買って、本国に送ったのが最初でそのためサツマと呼ばれるようになったのです。

鹿児島県長島にみかんの原木(樹齢300年以上)の古木が存在していて、それが原木だろうと考えられていましたが、この古木は昭和10年代に枯死し、今はその第2代樹が残っています。

みかんの豆知識

手が黄色くなっちゃった

みかんを食べ過ぎると皮膚が黄色くなります。これは柑皮症といって、カロチンが汗と共に排出されて皮膚の脂肪を着色するためです。もちろん健康上何の問題もありません。食べるのをやめると自然に色が取れます。カロチンは体内で、ビタミンAに変わります。
よく黄疸と勘違いしますが、黄疸とは肝臓が相当悪くなった時に出る症状で胆汁が血液の中に流れ込み皮膚や粘膜などが黄色になる病気です。みかんで胆汁の色素が増えることもありません。

みかんの皮の利用法1~木の床などの艶出しに

みかんの表皮には艶を出す成分が含まれています。昔はみかんの皮を煮立てた水で床などを拭き、木に艶をだしたそうです。

みかんの皮の利用法2~入浴材に

みかんの皮の成分は入浴材としてからだを暖める作用があり、冷え性、リウマチ、神経痛、風邪の予防、美肌などに効果があります。

みかんの皮の利用法3~お鍋や食器の臭い消しや油汚れに

みかんの皮と水を鍋に入れて煮たてると、鍋についた魚の臭い消しになります。また、食器の油汚れも、皮の白い部分でふきとった後、表皮でこするときれいにとれます。

みかん湯のたて方

その1)みかんの皮5~6個分をよく洗って熱湯をかけたものを、布袋に詰め、わかしたお風呂に浸します。袋で全体をマッサージすると、より効果が高まります。

その2)みかんの皮を天日で干し乾燥させたものを、布袋に入れ、その上から熱湯をたっぷりかけて15分ほど蒸らします。その後、汁と布袋を浴槽に入れて使います。

左近の桜、右近の橘

平安時代に、左近の桜に対して右近の橘として宮中の紫宸殿の前に橘が植えられていました。今の京都御所にも植えられています。現代の桃の節句、ひなまつりの雛壇にも飾られています、この橘がみかんの元祖といえます。

皮をむかなくても袋の数がわかる

みかんのヘタをとると並んでいる白い点々が袋の数と一致するのは良く知られた話です。これは水分や養分を運ぶ維管束の断面です。

TVオレンジ

温州みかんは、アメリカにも輸出されていて「TVオレンジ」という愛称で親しまれています。アメリカではナイフで皮をむくオレンジが主流で、手で簡単に皮がむけるみかんは、テレビを見ながらも簡単に食べられるということで人気だそうです。